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はつり工とは?
「はつり工」という言葉を聞いたことがあっても、どのような工事なのかは知らないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、はつり工とは何か、はつり工の作業内容や方法、注意点などをご紹介します。
はつり工とは
はつりとは、トンネル工事などの現場でコンクリート製品を割る、削る、切る、穴を開けるなどの作業全般のことを指します。
鉄筋コンクリート建造物の改修工事を中心に、補修・解体などコンクリートを使用する建物でははつり工を必ず行います。
はつり工の特徴
昨今のはつり工では、ハンマーの代わりに圧縮空気、油圧、または電気モーターを備えた専用のノミを打ち、コンクリートを砕いて建築する機械が使用されています。
また、コンクリートがはがれる際に多量の粉塵や騒音が発生するため、施工時には養生などの対策を講じています。
はつり工の種類
主なはつり工には、コンクリートはつり工、こわしはつり作業、チッピング仕上げ作業があります。
それぞれ順番に紹介していきます。
コンクリートはつり工
コンクリートはつり工とは、トンネルサッシなどをはめ込む際に、ピックやドリルを使ってコンクリート壁を削る工事です。
こわしはつり作業
これは、コンクリートを割る(削除)作業で、破砕機で破砕したり削岩機で割ったりするなど、トンネル内の一部が破壊された場合に実施されます。
はつりチッピング仕上げ作業
はつり仕上げとは、コンクリートの表面に意匠を施す作業です。工事では、ハンマーで叩いて模様をつけていきます。特にコンクリートは、削り方、叩き方によって様々な表情が生まれます。
はつりが必要なタスク
はつり工は小規模な作業ですが、様々な現場条件に合わせた作業が可能です。
ここでははつり工の主な方法をご紹介します。
狭くてピンポイントの工事現場
建設現場のスペースが狭すぎて重機が使えない場合は、ハンマーやジャックハンマーを使用して手作業ではつりが行われます。
電線を通したい時
電線を通したい場合は、はつり工を行います。壁などに穴を開けそこに配線していきます。
仕上げ作業
トンネル内の仕上げ工事として、外観・内装の見栄えを良くするためのリフティング工事を行います。繊細な作業が必要な場合、手作業で行うことが多いです。
舗装修理
コンクリートやアスファルトで舗装された道路やピットなどを補修するはつり工事を行います。舗装のひび割れや亀裂は定期的な補修が必要です。
不要な部分の除去
トンネル内ではみ出したコンクリートを削り取る際にもはつりを行います。
はつり工の主な方法
はつり工には、工具を使った手作業と重機を使った作業の2種類があります。それぞれ紹介していきます。
手作業でのはつり工
トンネル内ではつりを行う時は繊細さが求められます。
繊細さが求められる場面ではつり工を行う場合は、手動で行われることが多いです。
はつり工を手動で行う場合、金属チップを備えたハンマーやチッパー、ノミ、ハンドクラッシャーやカッターも使用されます。
ハンドクラッシャー工具は、重機よりも騒音が少なく、狭い場所での作業が可能です。
コンクリートの切断には、金属刃のついたカッターを使用します。
このように手作業でのはつり工は、さまざまな道具を使用し行われます。
重機を使ったはつり工
一般的なはつり工では重機と手作業を組み合わせて施工を進めます。
はつり工や土砂の移動に使用するショベルは、ショベルの先端にアタッチメントを取り付けることで作業内容を変えることができます。
例えば、コンクリートを解体する場合、ハンマーやノミを取り付けることで効率よく作業が行えます。その他には、コンクリートを挟んで砕く際にクラッシャーを用いることもあります。
はつり工の注意事項
はつり工は通常の解体作業と異なり、周囲への騒音に注意が必要です。
周囲の騒音
はつり工は、削る、切る、割る、穴をあける作業のため、通常の作業よりも騒音や振動が発生します。
重機を使わない手作業の場合でも音がうるさく、近隣住民への配慮として施工時期、使用する道具の選択などを考える必要があります。
特に、住宅地の近くで作業を行う場合、自治会のルールを聞いたり、近所の人と相談して工事を決めることが大切です。
トンネル覆工再生のためのはつり工法の検証
高度経済成長期に建設されたトンネル覆工の老朽化を受け、トンネル覆工再生が必要とされていました。
検証では、限られたスペースで道路を供用しながらコンクリート補修工事を行うため、2種類のはつり工法を採用することにしました。
施工計画の基礎資料として活用
高度経済成長期に施工されたトンネル覆工の多くは矢板工法で施工されており、近年は覆工にひび割れや漏水などが発生しています。
対策として、バックキャビティの充填(カーペット敷き)、止水工事、導水管の設置等が行われてきました。
改良工法として、既存の覆工コンクリートをロックボルトで補強した後、表面を剥がし、防水や張替えなど、トンネルの中空断面を残す覆工が検討されています。
しかし、車両が通行するスペースを確保しながらライニングを再生するため、作業スペースは大きく制限されます。
限られた作業スペースではつり作業を行った事例はなく、施工計画に求められる作業効率が明確ではありませんでした。そこで、ウォータージェットはつり工法と回転ドラムはつり工法の2種類のはつり工法をテストし、限られた作業スペースでも適用できるか、作業効率と仕上がりを確認しました。
「ウォータージェットはつり工法」と「回転ドラム式はつり工法」
破砕方法には、ウォータージェット破砕法と回転ドラム式破砕法の2種類があります。ウォータージェットはつり工法では、コンクリートを高水圧で切断し、コンクリート面に取り付けたレールを基準に、はつり範囲を複数回(セット)前後に切断して仕上げます。2本のノズルから噴射される高圧水の衝突点位置により、切り込みの深さを調整します。円形の切削範囲をラップして切削するため、切削範囲はテスト切削範囲よりも大きくなります。
ウォータージェットはつり工法では、表面の仕上がりはコンクリートと切削セット数に関係し、はつり効率と仕上がりのバランスが重要であることがわかります。
振動に関しては、ウォータージェットサスペンション方式を利用することでフレーム自体の振動を大幅に抑えることができました。
もうひとつの回転ドラム式はつり工法は、切削ビットを取り付けたドラムを回転させてコンクリートを切削する工法です。
支持フレーム内を左右に移動することで切断範囲を調整し、移動フレームの脚を伸縮させることで切断深さを制御します。
しかし、回転ドラム式はつり工法では、切断機が外側から壁面に押し付けられるため、振動が発生します。
どちらの方法でも、表面に浮き、剥がれ、またはマイクロクラックは観察されません。
2種類の工法による表面仕上げ
さらに、将来の深さ管理も視野に入れ、3Dスキャナーで削り面を計測・可視化。
その結果、切削深さを正確に表現できると同時に、撮影画像との比較により表面の仕上がり状態を把握できることが実証されました。
しかし、実際の構造物は、使用可能な施工ヤード、切断屑などの運搬・排出方法、排出距離が刻一刻と変化します。
様々な現場条件を考慮し、最適なはつり工法を選択して組み合わせて管理するとともに、リライニングを含むライニング修復も行います。
はつり工と解体作業の違い
ここまではつり工について紹介してきましたが、はつり工と解体作業はどう違うのか不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
はつり工と解体作業の違いは、作業範囲の違いです。
大規模なものが解体工事と言われます。つまり、はつり工はトンネル内などの小規模な工事を指します。
現場によっては、はつり工と同時に解体作業を行う場合があります。
まとめ
今回は、はつり工の意味と特徴、解体作業とはつり工の違いについて解説いたしました。
はつり工は聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、重要な工程です。
もし、業者を選ぶ際は、最後に紹介した注意事項の内容を参考にして選定すると良いでしょう。