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横断歩道橋の補修工法とは
横断歩道橋は、歩行者が安全に渡ることを目的とした構造物です。
高度経済成長期に交通事故を防ぐため大量に建設されてきました。
しかし、現在は経年劣化による損傷が顕著になってきているのが実情です。
施工に関して、設置されている場所によっては通学路として利用されていることもあり、通行止めにして施工する期間も短くしなければなりません。
さらに、コスト面に関しても優れている補修工法を選定することが必要です。
補修工法の選定について
横断歩道橋の補修では、各部材ごとに損傷の程度や損傷の要因をふまえた補修工法を選定します。
横断歩道橋の損傷事例
損傷の種類は、約20種類に分類されています。
損傷の大半で挙げられるのが、各部位の腐食や塗装箇所の劣化です。
定期点検は、5年に1度実施されることを基本とされており、点検時に発見された損傷は、対応する緊急度の高さによって対応策が異なってきます。
補修工法の種類
補修工法の種類は、基本的にコンクリート橋や鉄橋と同様の工法が用いられます。
ひび割れ補修や断面修復など、一般橋梁で活用している補修工法を横断歩道橋にも展開することが可能です。
ここでは、横断歩道橋の損傷に対する補修工法をご紹介していきます。
塗替塗装工法
鋼材の表面に形成されている塗膜は時間の経過とともに劣化していきます。
劣化箇所からの腐食を押さえるために塗り替えを行い、塗膜を再形成することが必要です。
塗装を塗り替える前に、既存の塗膜を除去し、素地を調整する必要があります。
鋼材保護工法
腐食によって鋼材に穴が空いてしまった場合、鋼板を溶接する方法と、シート型の防食テープを貼る方法、そしてエポキシ樹脂などの重防食塗料で表面を被覆する方法などがあります。
溶接補修工法
溶接部の亀裂を除去し、再溶接して強度を高める工法です。
主に初期の欠陥において溶接による補修が可能な場合に用いられます。
単なる補修だけではなく、再発を防ぐための補強も視野に入れた施工が必要です。
鋼板あて板補修工法
鋼材のあて板を高力ボルトまたは溶接によって母材に接合する工法です。
母材部の荷重伝達メカニズムを把握した上で構造詳細に基づいた工法の確立が望まれています。
形状改良工法
荷重が集中してしまうことにより、亀裂などの劣化が懸念される場合、部材の形状自体を変えてしまうことで荷重の集中を抑える工法です。
ガセット取り付け部や補剛材の回し溶接部の形状に起因しています。
ストップホール工法
亀裂箇所の先端部に対して荷重が集中してしまう場合、一時的に亀裂の進行を防止する工法です。
本工法は応急処置として用いられることが多いのですが、亀裂の進展を抑える工法としても適用されます。
旧橋撤去工法
建設から50年から60年経過している歩道橋が多く、費用をかけてメンテナンスするか、クレーンによる撤去を検討する時期に来ています。
横断歩道橋の損傷が著しく、対応の緊急性が高い場合や、施工の難易度が高い場合には撤去するという選択も検討するべきでしょう。
まとめ
横断歩道橋は5年に1度定期点検が行われており、そこで見つかった損傷度合いにより対応が変わります。
補修が必要な場合は、一般的な橋梁補修に使われる工法がそのまま横断歩道橋の補修へと転用されることが多くなっています。
ただし、時には損傷が著しく補修では対応不可能な横断歩道橋も存在しており、その場合は撤去が必要です。